平成18年度こうちミュージアムネットワーク総会
日時 平成19年3月16日(金) 14:00〜
場所 春野町立郷土資料館・春野町文化ホール 2階会議室
(1)18年度事業報告
@企画調整部会
・こうちミュージアムネットワーク全体の連絡調整
・幹事会 @5月17日 A6月22日 B1月17日 C3月7日
・総会 3月16日
・会報誌5号の発行 (3月中の発行予定)
A研修企画部会
・専門研修会「紙資料保存修復ワークショップ」(3月20日)
京都造形芸術大学 大林賢太郎氏
・企画展見学会「山内一豊とその妻」(8月21日)
土佐山内家宝物資料館 藤田雅子氏
・報告「春野町立郷土資料館の教育普及活動」(3月16日)
春野町立郷土資料館 徳平晶氏
・情報交換会「指定管理者制度」(1月17日)
「18年度の高知のミュージアムの催しをふり返る」(3月16日)
B教育普及部会
・専門的職員リスト2006
・HPの移転・暫定掲示板
情報交換会のダイジェストをアップしている。掲示板は書き込みを。
(2)19年度事業計画
@企画調整部会
・こうちミュージアムネットワーク全体の連絡調整
・幹事会・総会の開催
・広報誌第6号 (編集担当:?)
A研修企画部会
・講習会・研修会・講演会
紙資料保存研修報告会、障害のある来館者のために、照明や展示の技術、博物館経営(マネージメント)などいくつかの候補の中から選んで実施する。
・情報交換会
事務担当者向けの指定管理者制度情報交換会、広報の手段などいくつかの候補の中から選んで実施する。
・施設企画展見学会
・その他
B教育普及部会
・専門的職員リスト2007
・ホームページ
Cその他
・来年、県教育委員会が子ども達の博物館利用について考えていると聞いた。来館生徒の数ではなく、来館の質を高める博物館の利用が望ましい。チャンスなのでミュージアムネットワークとして、教委と博物館の意見交換会を開いたり、教委との情報流通システムを検討してはどうか。
→ 教育普及部会が中心になり会長も協力して情報収集・検討を行なう。
(3)役員等の選出
・牧野植物園が幹事館を辞退。
・坂本会長も固辞されたが、次年度一年ということで引き受けて頂いた。
・幹事館を引き受けるに当たって、依頼文書が必要との声があった。
→ これまでは文書で依頼したことは無かったが、次年度から会長名で依頼文書を作成し、事務局が送付することになった。
18年度 | 19年度 | |
会長 | 坂本正夫 | 坂本正夫 |
幹事会長 | 県歴民 | 県歴民 |
企画調整部会 | 龍馬記念館・横山隆一・民権館・県歴民 | 龍馬記念館・横山隆一・民権館・県歴民 |
研修企画部会 | 山内・県文学館・牧野・金剛頂寺 | 山内・県文学館・金剛頂寺 |
教育普及部会 | 県図書館・安芸市・春野・県美術館(HP) | 県図書館・安芸市・春野・県美術館(HP) |
事務局 | 文化財団 | 文化財団 |
(4)その他
・絵金蔵は、平成20年2〜3月頃、「酒」をテーマにしたミニ企画展を考えている。連携して平成20年度に「土佐の酒文化」という形で合同企画ができないか。酒造組合の協力(宇宙酒のイベントや酒蔵開放)は得られそう。「功名が辻」は観光・イベントのイメージが強かったので、文化施設とい う観点で実施したい。「土佐のおきゃく」や花フェスタとの連携も視野に入れる。高知市内で合同展示をやるという方向性もある。杜氏の流派について展示できないか、とも考えている。
・土佐学協会でも、酒や茶のテーマに取り組んでいる。4月15日には総会がある。
→ 絵金蔵の案をネットワークの会員に流し、興味のある人・賛同する人に一度集まってもらうようにする。
15:30〜 報告 「春野町立郷土資料館の教育普及活動」(30分)
春野町立郷土資料館学芸員 徳平晶
・図書館、郷土資料館、ホールが一体化した複合施設であり、会議や講演会の スペース、充実したライブラリーを有するなどの利点がある。
・ミュージアムがミュージアムたる由縁は、調査と研究をすることだと思う。資料館が無い時でも町では民具を集めており、資料収集保存はやっていた。その集めた資料を研究することこそミュージアムの特性だ。
・だが、普及とは何だろう。一部の専門家向きの論文を書いても普及とは言えまい。なぜなら一般の人に成果を還元しているとは言えないからだ。教育普及とは調査研究したことをいかに地域に還元していくかということだ。
・当館では大人から子どもまで対象を分けて普及活動に取り組んでいる。
・小学校は、昔の道具調べ、資料館の仕事調べ、弘岡用水などを目的に来館する。さらなる利用促進を考え、資料館と野中兼山の史跡巡りをセットにしたコースを提案したが、チラシを配布したのが8,9月と遅かったためか今年度は反応が無かった。次年度は早めに配布する。先生によってミュージアムへの理解にはバラつきがあるので、館の出来ることをアピールするのが目的。来館した場合も学校側が館にお任せではいけないので、特に希望を書いてこない学校にもこちらから電話して打ち合わせをする。八田堰をどう作ったかという問い合わせが多い。子どもたちが話しに集中できるのは15分が限度なので、模型を作るなど工夫をして対応した。その時答えられない質問には、後でFAXを送って回答している。「用水路文化財マップ」を来館した子ども全員に渡す。来たからにはおみやげを持って帰ってもらう。
・大人に対しては、学習講座(年4回)や企画展だが、広報は、町の広報誌に「郷土のしらべ」を毎回連載。広報誌「文化の里」を印刷機で印刷・発行(来館者に無料配布)している。資料館は歴史探究の入口で、あとは自主的なものと考えている。
・教育普及活動が一方通行ではないかとの反省がある。講座で20〜30人集めて話しても質問が出ない。ゼミ形式の講座、双方向に、あるいは、利用者が別の利用者に発信し、また発信していくようにできないか、と考える。前回の企画展の時、一人の来館者が話しかけて来た。答えようとしたら、隣の人が横取りして、何人かが盛り上がって、まとまって出ていった。これはスゴイなと思った。ミュージアムにはサロン機能が必要だと思う。知識のフリーマーケットというイメージだ。ミュージアムに何か求めてきても館が提供するのでなく、利用者間でやりとりできるような場が大事になってくると思う。
・学校教育とのシステム化は大事。ミュージアムにはいろいろな展示物がある。子どもが全部を理解するのは無理。コーナーに番号をつけて、それに応じた解説シートを配布して、テーマごとに理解してもらえば良いと思う。キャプションでは書ききれない。
古渓城 林:年末、春野資料館に来て、入館無料に感じ入った。展示も大人向けと子ども向けをミックスしてわかりやすい。友人と感心して帰った。
安芸歴民:町広報への掲載は町民がどこまで見ていると思うか?
徳平:間違うと反応が凄い。読んでもらっているからと好意的にとらえている。
安芸歴民:安芸では資料を探しています…と広報に出したが反応はあまり無かった。
徳平:実際には、一般に声がけすると同時に、持っていそうな人に当たってみる。反応が無くても広報に出すこと自体が大事なのだと思う。
民権:模型は貸し出すか?
徳平:貸出は大丈夫。模型にすることには問題もあるかも知れないが、学校教育としては答えを求めている。明治29年の八田堰修理の公文書などを参考にしながら作成した。
山内(藤田):かつて春野が行なった写真募集展示は双方向に近いと思うが反応は?
徳平:写真展自体は不調だったが、他の方に声をかけて持って来てもらうという広がりがあった。集めるについては町内の方に声をかけて、200〜300点集まった。1点1点スキャナーで読みとって返却した。
16:00 情報交換会 「18年度の高知のミュージアムの催しをふり返る」
・各館の18年度事業について簡単に報告してもらった後、質疑を行なった。主な質疑の回答のみを要約して載せる。
安芸歴民:おひなさま展は、町おこしや東部海岸地域の町並みと連携してパワーアップしてきている。3,4日は1日180人ぐらい来た。一般公開している武家屋敷に飾り付けを行なうなど広がってきている。安芸ひなの会という古い建造物を活かした町づくりをすすめている会と連携し、おひなさまだけでなく、地域の文化を大事にしようという観点で実施している。
山内:昨年いろいろやった中で人気があったのは南蛮音楽。高知城ホール4階の部屋がいっぱいになった。一般から手記を募集した「我が家の江戸時代」は、殺到するということは無かったが、山内家に女中さんに行っていたなど貴重な証言を得ることができた。
山内:当館には友の会も無いし、解説ボランティアもいない。古文書に興味がある方が、初級・中級と経て、熱心な人が「諸式覚」を読む会、資料集を作る会などに参加している。講座は一方通行。「諸式覚」を読む会はまだ講義形式。資料集を作る会は、刊行を目標に、分担を決め読んでいる。人材育成という観点からは若い人はいない。本当は、もっと高校生など歴史に興味がある若い人を引き込むことも必要かも。
大人は自学自習、ちょっと知的なレベルに引かれる。大人が何を楽しめるかを考えていろいろメニューが増えていった。当館の講座は山内資料という増えない資料に対処できる力を身につけてもらうのがねらいだ。
16:50 閉会